先日、Santa Fe(ニューメキシコ州 アメリカ)でセミナーを受けてきました。
Santa Feを検索すると、今だに宮沢りえさんのあの写真集がヒットするんですね、驚きましたw
ちなみにロケ地は市街地からだいぶ離れた所らしいです。
で、
何のセミナーだったのか?
聞かれてもうまく説明できません。
数年前から師事している先生の元、とにかく不思議な体験をたくさんしました。
そもそも行く前から「スペシャルセミナー」とだけ聞いていて、内容がわからない状態で申し込みをしたのです。
闇鍋のような、ミステリーツアーのような…
とにかく何が何でも行かなくちゃ!と全く迷いはありませんでした。
今回、昔からの仲良しのTさんと一緒だったことで、とにかく安心でリラックスして過ごせたことがいろいろな体験の幅を広げてくれたと思っています。
彼女も特殊な体験をすることができ、お互いにベストなタイミングで行けたことに感謝いっぱいです。
Santa Feは標高が2200mほどの高地で、時差も16時間あり、高山病と時差ボケが重なるので注意が必要と言われていましたが、全く何も影響がなくずっと元気で、それもラッキーでした。
さて、着いてすぐ、まだチェックインにはちょっと早かったので市内の観光に行こうと言うことになりました。
長旅で疲れてはいましたが、先生自らお迎えに来てくれていたのもあって、みんな興奮気味です。
すぐ近くの広場では地元のネイティブアメリカンの方達のお店も出ていたり、観光客で賑わっています。
Santa Feの街は塗り壁の美しい建物で統一されていて、Tさん曰く「ディズニーランドみたい♡」笑。
どれも芸術的な風景で、キョロキョロしながらみんなから遅れがちに歩いていました。
その時、足元で何か不穏な動きがありました。
「???!!!」
駆け寄ってみると、小さな野鳥がパタパタと地面をのたうっています。
「どうしたの!!??」
車にでもはねられたのか痙攣を起こしているようです。
こんなに人がたくさんいるのに、誰も気づかず通りすぎて行きます。
抱き上げて砂を払い、よく見るともう最期の時が近いのは明らかで、神経症状が出ています。
手の中にすっぽりと包んで、みんなの後を追いかけました。
通訳の方やツアーの責任者の方に聞いても誰もどうしていいか分からず、教会の方にも聞いてみてもそのまま置いておくほうがいい、しばらくしたら飛んでいくかもしれないし、と。
そんなわけあるかいな。
もうすぐ逝くのに。
先生にも見せたら「oh…」と一瞬で寿命を見極めたようで、もう何もできないから自然に任せるしかないよと言いました。
それはそうなんだけど、この子は確かにSOSを出していたのだから、どうしても放置はできませんでした。
何もできず、ただ、手の中の命にヒーリングを送りました。
そして美しい教会の中に入り、神様からの祝福ももらいました。
受付の人も何も言わずに通してくれたのです。
「どうか、苦しまずに安らかに最後を迎えられますように」
その時、教会の鐘が鳴り響き、願いが聞き届けられたんだなと確信しました。
いつの間にか小さな鳥さんは静かになっていて、時々首を回すだけで、さっきのひどい神経症状は収まっていました。
教会の外に出るとTさんが心配して一緒に出てきてくれました。
手を借りて、鳥さんの砂だらけになった目を洗い流し、もう一度ヒーリングをしました。
思えば、中学生の頃から、Tさんはこうやってわたしが傷ついた鳥を抱えている横で、一緒に胸を痛めてくれていました。
外国で、なすすべもなく無力な自分を感じている時、彼女が横にいてくれることに改めて深い感謝が湧いてきました。
創造主よ、感謝します。
日が暮れて、ホテルの部屋に着いてからも寛ぐ暇もなく、鳥さんのベッドを作っていました。
もう自力で立てないので、体を保定しながら温めるように。
Tさんがニット帽を貸してくれて、そこに石鹸用のスポンジとハンカチでやんわりと固定しました。
それから暗くしてあげると、安心したのか静かに眠り始めました。
「怖かったね、大丈夫だよ。安心していいからね。」
そして、そのまま静かに天へ帰れたらいいね。
すっかりみんなとペースがズレてしまい、慌てて晩御飯を買いに出かけたら、街はすでに真っ暗でどこも閉まっていました。
「マジか」
タコスは諦めてスタバでホットサンドを買って帰りました。
「しかし、なんでわたしはこんな所まで来て野鳥を保護してるのかしら?」
「仕方ないねー。お役目だもん。」
部屋でサンドイッチを半分こして食べながら、ようやく人心地が着きました。
「この子は何ていう種類?」
「さあ、ゴジュウカラに似てるから、アメリカ版の似た種類なのかな」
ニット帽のベッドの鳥さんはもうかすかに息をしている程度です。
時々、真っ黒な目を開けてこちらを見ます。
「大丈夫だよ。」
そしてまた眠ります。
9時頃かな…ふと思いました。
今のうちにお風呂に入っておこう。
その後、Tさんがお風呂に入ってる時に鳥さんを見ると、少し動いたのか、ハンカチから出ていました。
首も動かしています。
ああ、もうそろそろなんだね。
ベッドから出し、両手で包み、創造主にもう一度お願いします。
「安らかに逝けますように」
もう、意識はないのでしょう。
時折パタパタと羽を動かしているけれど、何も感じていないようです。
「もういいよ。よく頑張ったね。もういいからね。」
こんなに頑張れるのは、この子の肉体が強靭で、素晴らしい体力を持っていたからなんだと気づきました。
そして、この力強い肉体と美しい翼でこの子がどんな暮らしをしてきたのかが伝わってきたのです。
厳しい自然の中を力一杯生き抜いてきた尊さに胸を打たれました。
ふいに涙が出てきました。
出会ってからほんの数時間しか経っていないのに、まるで一生を共に過ごしたかのように強い愛情を感じるのです。
「もういいよ、お行き」
今までの人生で何度このセリフを言ったことでしょう。
わたしは、「愛するからこそ手放す」ということを、野鳥たちから教わりました。
野生に帰る時も、肉体を去る時も、執着はなんの助けにもならないのです。
自由を尊重することが、彼らをありのままに愛する唯一の方法だと思うのです。
手の中で静かになった鳥さんは、小さく息を吐きました。
そして頭から尾まで、微細な震えがスーッと通り、何かが完全に抜けて行きました。
「よく頑張ったね…」
21時8分でした。
もうすっかり抜け殻の鳥さん。
わたしもちょっとの間放心しました。
翌朝、まだ暗い5時頃に起き、冷たい街を歩きました。
Tさんも一緒に付き合ってくれて、鳥さんを埋める場所を探していたのです。
見事に整備された街はなかなか埋葬できる場所がなく、ようやくホテルの裏側の小さな植え込みを見つけて穴を掘りました。
スプーンで。
「スプーンじゃ厳しいねー。」
「だねー。」
ちびちび掘って、ようやく埋めて、2人で見送りました。
早朝の澄んだ空気が鳥さんを浄化してくれているようです。
「さて、少し街中をお散歩するか」
「そうだね、どこでお土産買うか下見しておこう」
誰もいない、夜明けの美しいSanta Feの街並みを2人で写真を撮りまくりながら歩きました。
「今日からセミナーだね。」
「何が起きるのかな。」
「のっけからこれだからねー」
「やばそう〜」
朝焼けの空に、笑い声が響きわたっていました。