父のソウルメイト〜後編

「もう帰りたい。ここにいたくない。」兄に言いました。

「うん。あとは業者に頼もう。」

「はあ~」

何も手伝うわけでもなく、あの人がまた父の部屋に来てため息をつきます。

「もう、日が経つにつれて寂しくてね」

もういいよ!

しつこいよ!

出てってよ!

プンスカしながら父の机の引き出しを開けると、写真が数枚出てきました。

兄と覗きこむと、そこには若い父が楽しそうに笑っている姿があります。

「あ、それね。スペイン旅行の時の。お父さん幸せそうでしょう?たくさんあるから差し上げるわ。欲しいでしょう?」

ぶっ
吹いたのは兄です。

バン
引き出しを閉めたのも兄です。

何事もなかったかのように、次の引き出しを開けてます。

「遠慮しないでねー?」

しねーよ。

いらねーよ。

どんな神経してんだよ。

すっかりガラの悪くなった小さいあきえちゃんが心の中で吐き捨てます。

「あら…妹さん?…娘さん?」

突然、あの人が兄に尋ねます。

「僕の妹ですよ。父の娘のあきえです。」

兄の肩越しにこっちを見つめるあの人の瞳の中に怯えた色が写りました。

やっぱボケちゃってるのかも…

「ごめんなさいね。こんな形でお父さん取っちゃって。」

はあああ??

ぶっ
吹いたのは兄です。

「何を今さら」
「何を今さら」
ハモりました。

すごいなー!

よくそんなセリフが言えるなー!

なんかもうリトルミイみたいになって、足をだんだんしてる小さいあきえちゃん。

「早く迎えに来てえええ!無ーーーー理ーーーーー!」

夫にメールしました。

その後、迎えに来てくれた車に荷物を積んで、兄の家まで行きました。

「着信拒否しないと、でんわ攻撃してくるんじゃない?」

「うん、もう既にいくつか着信アリ

「ひい~」

「もう知らん。あとは自分でやってもらう。」

「業者は?」

「部屋を片付けたら、あの人おかしくなりそうだから放っとく。」

「親戚とかいるのかな」

「兄弟は多いって。だから大丈夫。」

バッサリ切り捨てる兄。
あの愛想の良さはなんだったの?

兄の家の65インチの巨大テレビもそうだけど、ホント、時々びっくりさせられるわー。

「でかーっ」

「近くで見れないー」

「あはははー」

今まであの人のことについて兄と話しあったことはなかったけれど、今思えばお互い無意識に避けていたのでしょう。

長い間禁忌だった話題。

見て見ぬ振りをしてきた事実。

それを受け入れる時に、兄がいてくれて良かった。

母の妄想でもなく、本当に父はわたしが4歳の頃からあの人と付き合っていました。

わたしの育った巣は幻だったの?

安全な家庭なんかなかったの?

不意に引き潮で足元の砂が崩れていくような感覚に襲われました。

ガサ入れに行かなければ一生気づけなかったかもしれない感情。

怒りなんてありませんみたいな顔してこんなもの抱えてたなんて、人間ってすごいなと感心しています。

両親やあの人が何を思い、何を感じていたのか。

今はもう、ただ起きたことは起きたのだと思っています。

人生の基盤が揺らぐような出来事を通して、何を学んだのか。

父の死というタイミングでしか気づけないことは何だったのか。

認識できない傷を癒すことなど、できないのかもしれない。

だから、今回の体験は本当に必要だったのです。

関わったあらゆる人に感謝を感じるのも事実です。

ふてくされた態度をとっても、あの人を憎むことはできませんでした。

あの人は父の運命の人でした。

確かにそうでした。

たくさんの人を巻き込み、傷つけ、そして学び合ったソウルメイト

魂の成長には欠かせない存在だったのです。

それは魂の選択だったのです。

わたしはこれからたくさんのクリアリングをすることになるでしょう。

でもそれは今までとは違う、何かもっと優しい愛に溢れた浄化になると思います。

もうこのことを押さえ込んで苦しむことはないのですから。

癒しはすでに起きています。

***

「しかし、こんなソウルメイトもいるんだな。わたしには一真くんで良かった。」

「ほんとですかあ? うふふー♡」

「コケコッコー!(俺もー!)」by ごまちゃん

どんなソウルメイトを引き寄せるのかは、どんな風に自分を愛するかで変わります。

もしも最高に相性の良いソウルメイトと出会って、添い遂げることができたら。
きっと人生の彩りが豊かになると思います。

ソウルメイトを通して自分を見つめることは、魂の成長の助けにもなるでしょう。

わたしが教えるソウルメイトのクラスは面白くなりますよ〜
(ちょっと宣伝♪)

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鳥とシータヒーリング®︎をこよなく愛するヒーラー。
潜在意識の書き換えと各種エネルギーワークを併用して、喜びに溢れた人生をクリエイトするお手伝いをしています。

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