鳥とスピリチュアル

鳥から学ぶ親の愛 〜かーくん前編

数年前、カラスの雛を拾った時のこと。

家の近所の道端でうずくまり、口から血を出して動けなくなっている黒い物体を夫が見つけ車を止めました。
両親らしきカラスがギャーギャーと頭上で騒ぎ、子供に近づくなと威嚇しています。
その子も動けないなりにギョエー!と声で威嚇します。

全身を触ってみたら(威嚇は無視)腹部が異常に膨れてパンパン。
猶予は無いと判断して、車で連れ帰ることにしました。

それはもう大騒ぎさ〜

普通なら攻撃を受けるシチュエーションなのですが、ヘルメットを取りに戻る時間も惜しかったので「ごめんね!誘拐じゃないから!助けてあげるからね!!」と言いながら威嚇する子を抱えて乗車。

すると2羽の親たちはギャオギャオ叫びながら着いてきます。
家の裏に車を停めて、私たちが室内に入るところまで確認して、庭の上空を旋回しながらまだ騒いでいます。

一般的に大型の鳥ほど雛への愛が強いのですが、カラスは特に執着がとても強くて雛を守るためには相手が誰であろうと怯まず攻撃してきます。

この時わたしが襲われなかったのは、どうやって助けようか集中するあまり、襲われる恐怖がすっぽ抜けていたせいだと思います。

 

かーくん大丈夫かな」
「…へ?」

そういえば、夫はこの子を見つけた時からかーくんだ!かーくんがいる!」と名前で呼んでいたのを思い出しました。

「なに、この子知り合い?」
「いえ、違います」
「だよね…?」(シュール…)

夫が心配そうに見守る中、雛を温めながら落ち着いて全身を細かくチェック。
出血はクチバシが折れたせい。
ひどい貧血と脱水。
腹部の異常な腫れは何かが原因でショック状態になり、腸の動きも止まってしまったせいで過発酵になったと予測しました。

かーくんは辛いのか少し触っただけで「ギョエ〜〜〜」と鳴きます。
その度にうちにいる他の鳥たちが「ひいっ」と驚きます。
みんな繊細だからね。すまんね。

薬も獣医もなし(動物病院にカラス連れて行くと殺処分と言われるので行けない)
あるのはブドウ糖だけ。
あとはガンガンに温めるしかない。

待つこと30分…

異様な臭いが漂ってきました。

くっさ〜〜〜〜

かーくんの入ってる段ボール箱の蓋を開けると鼻がもげそうになる悪臭が。
なにこの破壊力。目もしぱしぱ。

そしてすごい量の………!!!
腸内の過発酵の物体が箱を埋め尽くしておりました。

「ゥアー」
スッキリした顔でこちらを見上げるかーくん。
先ほどとはうって変わって穏やかな表情。
子ガラス独特の青い虹彩が愛らしい。
掃除をするために抱き上げたらそのまま膝にしがみついて、撫でてあげると体を預けてきます。

胸の奥底から湧き上がるあったかい感情。

「良かったね。お利口だね。すぐ元気になるよ。」と激臭も忘れていました。

その後拾った現場を確認したところ、近くの鉄塔で営巣しているカラス一家を見つけました。
カラスの雛が2羽います。
かーくんよりも少し大きくて、盛んに巣の縁で羽ばたき練習をしているので、これから巣立ちなんでしょう。

ぎゃー誘拐犯!

しまった、見つかった。
そそくさと現場を離れます。

かーくんがあの巣から落ちたのは間違いないようです。
まだ全然飛べないのに、あんな高いところから落ちてよく無事で…

双眼鏡でなんとか見えるくらい高い
2羽のうち1羽だけ見えてます

あれだけの衝撃を受けたなら骨折もしてそうですが、うまく風に乗って着地したのでしょうか。
それでも数日間は動きが鈍く、多分かなりの筋肉痛とか打撲痛があったと思います。

さて、これからどうしようか。

「お前を一人前に育てて仲間の元へ返すには、たくさんのラッキーが必要なんだよ」
「ぅが」

とにかく、元気になったら外に慣れさせないとね。
庭で遊ばせながら怖がりにならないよう育てなくちゃ。

数日ですっかり懐いたかーくんは、あまり屋外が好きではないようで
「お外行く?」と聞くと「ん〜ん」とごまかします。

縁側からぽいっと外に出すと、急いでよちよち歩きで玄関から入ってきて「あ〜」と得意顔をします。
その際、お土産に落ち葉を拾ってきてくれるのを忘れない。

ただ、誰かと一緒なら外でも平気なので、よく他の鳥たちと一緒に水浴びをしていました。
先住のオウムたちはかーくんのことを
「ちょっとあたまわるそうだけどだいじょうぶ」と認定したようです。

夫にもカラスの子向けの特製団子の作り方と与え方を教えて、交代で給餌をすることにしました。
まだ自分でごはんを食べられない幼い鳥の「あーん」は悩殺ポーズと言えます。
イクメン生活を楽しむ彼と甘え放題のかーくん。

そして、その様子を見守るわたしと…かーくんの親たち
彼らは毎日代わる代わる庭にやってきて、かーくんの様子を見ています。

もう決して大声を出すこともなく、時には気配さえも消して静かに静かに見ています。
「大丈夫だよ。しっかり体力つけて必ず返してあげるからね。」

かーくんの親がなにを考えていたのか、この時のわたしには知る由もありませんでした。

 

***

長くなったので、続きはまた。

 

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